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高速伝送路におけるジッタ評価、測定手法

このページで紹介している内容
  1. 概要
  2. ジッタ測定の重要性
  3. 各種のジッタ測定法
  4. ジッタ測定ソリューション
  5. 関連製品
1.概要

近年のディジタル回路・システムにおいては、GHz帯域の信号を取り扱い始めています。例えば、シリアルATA(1.5Gb/s、3Gb/s...)、ファイバ・チャネル(1.063Gb/s、2.12Gb/s...10.5Gb/s)等です。このような高速信号を取り扱う上では、タイミングマージンの減少はクリティカルな問題になるため、ジッタ解析は重要な測定項目となっています。また、ジッタの発生要因や特性を理解することは、不具合個所の切り分けに大きく貢献しますので、ジッタ発生要因や特性を十分に理解する必要があります。

2.ジッタ測定の重要性

ジッタはディジタル回路・システムにおけるエラー発生要因のひとつで、様々な規格で異なるジッタのスペックが定義されており、その評価・測定方法もひとつではありません

ジッタには、Cycle-to-Cycle、N-Cycleジッタ、トータル・ジッタ(TJ)、デターミニスティック・ジッタ(DJ)、ランダム・ジッタ(RJ)、ジッタ・スペクトラム等の様々なパラメータがあり、それぞれのジッタ測定法が得意とするパラメータは異なります。すなわち各種のジッタ測定法の得失を正しく把握し、目的に応じた測定法を選択することが必要になります。 

DJ/RJ分離の重要性

DJ/RJの分離は、シリアルATA、ファイバ・チャネル等多くの高速シリアルデータ通信で規定されています。図1にジッタの構成要素を示します(ディジタルアプリケーションでの定義)。

RJは、一般的にガウス分布に従い、観測時間を長くすればするほどそのp-p値が大きくなる特性(Unboundedな特性)をもっています。一方、DJは様々なシステマティックな要因により発生し、そのp-p値は境界のある特性(Boundedな特性)をもっています。
Unbounded、Boundedな特性からTJは算出されるため、ある特定のBit Error Ratio(BER)でTJの値を定義しています。

 TJ(p-p値) = n x RJ (rms値) + DJ (p-p値)
 (nはBERにより異なる: n=14.1@BER=10-12, n=15.3@BER=10-14, etc.)



図1 ジッタの構成要素


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3.各種のジッタ測定法

ジッタ測定は、ジッタ・ジェネレーション(発生)、ジッタ・トランスファ(伝達)、ジッタ・トレランス(耐力)の3種類に分類され、各々測定法が規格で決められています。

3.1 ジッタ・ジェネレーションの測定

  • アイダイアグラム
    オシロスコープを用いてアイダイアグラムを観測する方法で、アイダイアグラムのクロスポイントでヒストグラム解析する手法、規定のマスクに波形が抵触するか確認するマスク試験があります(図2)。 最も直感的でジッタ特性の全体像を把握するするのに適していますが、DJ/RJ等のジッタ成分を詳しく解析することはできません。また、アイダイアグラムを測定するためには、データ信号とは別にクロック信号が必要となり、このクロック信号は、直接入力するか、データ信号からクロック再生する必要があります。再生クロックの場合、クロックリカバリ回路(CRU)のループ帯域幅が観測波形(ジッタ)に影響するため注意が必要です(図3)。

(a)ヒストグラム解析

(b)マスク試験

図2 アイダイアグラムによるジッタ解析

(a)ループ帯域が狭いCRUでクロック再生 (b)ループ帯域が広いCRUでクロック再生

 図3 CRUのループ帯域による観測波形の差

 

  • バスタブカーブ(Bathtub Curve)
    バスタブカーブとは0、1の判定閾値によるエラー発生確率(累積確率分布)を示したもので、Bit Error Ratio Tester(BERT)による直接測定法、オシロスコープ等を用いた間接測定法(確率密度から累積分布に)があります。この手法は、RJをガウシアン分布と仮定してバスタブカーブにフィッティングをする事により、DJ/RJ分離が行えます(図4)。
    BERTを用いて長時間のBER測定を行う事により、例えば、10-12までのBER測定を行いバスタブカーブの測定をすれば、外挿では無い、真のTJを求める事が出来ます。しかし、低いBERまで実際に測定を行うことは時間がかかるため、短時間でのバスタブカーブから外挿によりTJを求めることも良く行われます。 

 

図4 バスタブカーブ(Bathtub Curve)によるジッタ解析


  • 時間領域測定
    理想的なエッジからのずれでジッタを評価する手法で、オシロスコープ、Time Interval Analyzer(TIA)等で測定を行います。測定パラメータとしては、Cycle-to-Cycle、N-Cycleジッタ、Time Interval Error(TIE)等があります(図5)。

(a) Cycle-to Cycleジッタ (b) N-Cycleジッタ(3-Cycle)
(c) Clock TIE      (d) Data TIE

図5 各種時間領域測定法

 

  • 周波数領域測定
    ジッタは理想的な信号からの位相のゆらぎ(位相雑音)として考える事が可能です。スペクトラム・アナライザや位相雑音測定システムを用いれば、ジッタがどのような周波数成分を持っているかを解析でき、ジッタの原因解析やトラブルシュートに利用する事ができます(図6)。 

    位相雑音測定システムによるジッタ解析では、他のジッタ測定法では測定できない超低ジッタ量を測定できるため、水晶発振器のような高安定なデバイス評価に適しています。

図6 位相雑音解析によるジッタ測定

 

3.2 ジッタ・トランスファ

ジッタの伝達関数で主にPLL(CRU)の特性評価に用いられ、入出力でのジッタ振幅とジッタ周波数の関係を示しています(図7)。特定のジッタ周波数だけが強調されていないか、設計した通りのカットオフ周波数(ループ帯域)になっているのか等を確認する試験です。

特に、SONET/SDHのような同期系アプリケーションにおいては重要な測定項目のひとつです。ジッタ・トランスファ=20log10Joutput/Jinput

 

図7 ジッタ・トランスファの測定例

 

3.3 ジッタ・トレランス

どれだけのジッタに耐えられるを測定する耐力試験で、ジッタ振幅・周波数、各種ジッタ成分を変化させ、エラーが発生するか確認する試験です(図8)。主に受信器側の試験項目で、PLL(CRU)がどこまでジッタに追従できるのかを確認する手法です。PLL(CRU)のループ帯域が測定結果に大きく影響を与えます。

以前はSONET/SDHが主な測定対象でしたが、最近では高速ディジタルアプリケーションでも必須の測定項目となっています。

図8 ジッタ・トレランスの測定例

 

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4.ジッタ測定ソリューション

Cycle-to-Cycleジッタやジッタのトレンド(ジッタの時間経過)を測定するためには、連続的なリアルタイムデータを記録できるリアルタイム・オシロスコープが必須となります。
また、リアルタイム・オシロスコープを用いたジッタ解析、評価では、ジッタと他の信号との時間相関をとってジッタの原因解析を行なったり、ジッタの時間経過からジッタスペクトラムの解析もできるというメリットがあるうえ、DJ/RJ分離も行えます(図9)。
キーサイト・テクノロジーのDSO80000シリーズのリアルタイム・オシロスコープは、理想的なソフトウェア方式のクロックリカバリ機能を内蔵し、エンベデット・クロックのアプリケーションに対しても正しいジッタ解析を可能にします。

また、ASA社のM1ソフトウェア(日本代理店、東陽テクニカ様)とキーサイトのリアルタイム・オシロスコープの組み合わせは、DJ/RJ分離を始めとする各種のジッタ解析を高精度に実現できます。

データレートが8Gb/sを越える領域になると、データ波形の解析はサンプリング・オシロスコープが主流となります。キーサイトのinfiniium DCA-J 86100Cは、従来のサンプリング・オシロスコープでは困難であったDJ/RJの分離やDDJの解析を比類の無い速さと正確さで実現します(図10)。


(a)クロックリカバリ(E2688A SDA)   (b)ジッタのトラブルシュート(E2681A EZJIT)

(c)ジッタの分離解析(N5400A EZJIT Plus) (d)ジッタの分離解析(ASA M1)

図9 Keysight Infiniiumオシロスコープによるジッタ解析画面

 

図10 Keysight Infiniium DCA-J 86100Cによるジッタ解析画面

キーサイトでは、その他にも各種ジッタ解析ソリューションを提供しています。ParBERT 81250は優れた出力波形と使いやすいジッタ解析ツールを備えており、高精度なバスタブカーブによるジッタ解析を実現します。Serial BERT N4903Aはバスタブカーブによるジッタ解析機能に加え、任意のジッタが出力可能な機能を有し、ジッタ・トレランス試験を1台で行うことが可能です(図11)。また、高機能ジッタ測定ソリューションJS-1500は各種規格に準拠したジッタ・ジェネレーション、ジッタ・トレランス、ジッタ・トランスファの試験が実現可能です。さらには、位相雑音測定システムE5052Aにより超低位相雑音デバイスのクロックジッタ測定が可能となります。

(a) 各種ジッタの設定 (b) ジッタ・トレランス測定結果

11 Keysight N4903A ジッタ・トレランス

 

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5.関連製品

本文中で紹介させていただいた製品は以下より参照いただけます。

リアルタイムオシロスコープ 

サンプリング・オシロスコープ

BERT

その他

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