Error processing SSI file
Error processing SSI file
ホーム > 電子計測 > 高速ディジタル・アプリケーション総合ソリューション  > 車載ネットワーク
車載ネットワーク

目次
  1. 車載機器制御方式の変遷と車載ネットワーク
     
  2. 車載ネットワークの規格概要
    2-1:CANの概要
    2-2:LINの概要

     
  3. 車載ネットワーク評価の技術動向
    3-1:エラーゼロを目指した製品開発と評価の課題
    3-2:CANおよびLINの通信品質評価へのアプローチ
    3-3:Agilent車載ネットワーク評価ソリューション
 
【1】 車載機器制御方式の変遷と車載ネットワーク

1970年代ころまでは自動車の機能も現在と比べるとそれほど多くなかったため、基本的に車載機器の制御はワイヤーや油圧などを介した機械式制御により行なわれていました。しかし、自動車の機能が高度になるにつれて、機械式制御では精度が足りなくなってきたこと、また、機能が増えるにつれて車体重量が重くなってきたこと、などから、ワイヤーハーネスを介した車載機器の制御は電子式制御に置き換わっていきました。

マイコンの登場によりECU (Electric Control Unit)により制御が行なわれるようになると、ひとつのECUにより複数の機器を制御できるようになり、結果として、電子式制御を導入した目的のひとつである「車体重量の軽減」を達成することができました。

しかし、自動車の高機能化による制御機器数の増加、制御シーケンスの複雑化、車載機器の小型化などにより、ECU周辺回路設計が高度化し、ECUインターフェースの配線が複雑化してくると、ハーネス数の増加による車内でのハーネス配線の複雑化、ハーネス重量の増加、が新たな問題として浮上してくるようになったのです。

この問題を解決すべく、車載ネットワークを介した分散制御方式が導入されました。CANやLINは車載ネットワークとして使われている分散制御方式ネットワークの代表例です。これにより、ハーネス配線の複雑化、ハーネス重量の増加、という問題の解決が図られています。現在では、自動車の更なる高機能化に対応すべくFlexRayなどの通信規格の導入について研究・開発が進められています。

図1.車載機器制御方式と車載ネットワークの変遷

▲TOP

【2】車載ネットワークの規格概要

2-1:CANの概要

CANはController Area Networkの略称で1986年にドイツの電装品メーカーであるボッシュ社により制定されたシリアル通信プロトコルです。CANは、自動車内にある複数のECU間の通信をネットワークにより行なうことで、ワイヤーハーネスの数量の削減、車体重量の削減、の実現を目的として制定されました。元々は自動車内での通信のための規格として制定されたCANですが、通信エラー検出能力および通信エラー通知能力が高く、通信としての安定性と信頼性が高いことから現在では産業機器、医療機器、船舶、農業機械など自動車以外の分野でも採用されています。

CANの最新の規格は1991年に制定されたCAN Specification version2.0 PART B (CAN2.0B)となっており、仕様書は以下のURLよりダウンロードすることができます(2006年9月現在)。http://www.semiconductors.bosch.de/pdf/can2spec.pdf

CAN2.0Bの仕様は、IDO/OSI基本参照モデルのうち、データリンク層、物理層、トランスポート層の一部を規定しています。CAN2.0Bで規定されない、信号レベル、通信速度、ドライバやバスの電気的特性などは標準化団体や各業界団体によりCANを基本とした規格が策定され運用されています。例えば、物理層の電気的特性は、伝送レートが125kbpsから1MbpsまでのHigh Speed CANはISO11898、伝送レートが125kbps以下のLow Speed CANはISO11519により規定されています。表1にLow Speed CANおよびHigh Speed CANの電気的特性の概要、表2に各業界団体で規定されたCANをベースとした規格の例を示します。

1.High Speed CANおよびLow Speed CANの電気的特性の概要評価

 

規格名称 伝送レート 物理層仕様 用途
SAE J2411 33.3kbps,83.3kbsp 1線式 自動車(ボディー系)
SAE J2284 500kbps 2線式、ツイストペア 自動車(パワートレイン系)
SAE J1939-11

250kbps

2線式、ツイストペア+シールド トラック、バス
SAE J1939-12 250kbps 2線式、ツイストペア+シールド、電源供給(12V) 農業機械
NMEA-2000 62.6kbps,125kbps,
250kbps,500kbps,1Mbps
2線式、ツイストペア+シールド、電源供給 船舶
DeviceNet 125kbps,250kbps,500kbps 2線式、ツイストペア+シールド、電源供給(24V) 産業機器
CAN open 10kbps,20kbps,50kbps,
125kbps,250kbps,
500kbps,800kbps,1Mbps
2線式、ツイストペア+シールド、電源供給(オプション) 産業機器

2CANをベースとした規格の例

▲TOP

 

2-2:LINの概要

LINはLocal Interconnect Networkの略称で最初の仕様はLINコンソーシアムにより1999年に制定された通信プロトコルです。LINは、自動車内にある複数のECU間の通信をネットワークにより行なうことで、ワイヤーハーネスの数量の削減、車体重量の削減、の実現を目的として制定されました。LINは低コストなネットワークの実現をめざして規格が制定されており、CANと比較すると高速な応答性や高速性が求められない機器に採用されることが多くなっています。

LINの最新の規格は2003年に制定されたLIN Specification Package revision2.0 (LIN2.0)となっており、仕様書は以下のURLよりダウンロードすることができます(2006年9月現在)。http://www.lin-subbus.org/frontend/stylesheets/request_doc.htm

▲TOP

【3】車載ネットワーク評価の技術動向

3-1: エラーゼロを目指した製品開発と評価の課題

自動車はお客様の人命を預かる製品であるため、製品の安全に対しては極めて厳しい基準が設けられ、エラーゼロを目指した製品開発が展開されています。したがって、開発の最終段階や品質保証の段階では「製品が仕様を満たし正しく動作していること」の確認、言い換えると「エラーが発生していないこと」の確認が行なわれます。通信品質の評価という観点から考えると、多くの機器が車載ネットワークにより接続されている現在、車載ネットワークの通信品質は車載機器の安定した動作に対して大きな影響を与える可能性があります。したがって、安全な製品を提供するという観点から考えても車載ネットワークの通信品質評価の重要性は高まりつつあります。このような評価を行なう際に直面する技術的課題として以下の4項目をあげることができます。

図2. 車載製品メーカー様のニーズ

1.ノイズ環境下での通信品質の評価
車載ネットワークの通信速度の増加および製品の小型化により回路設計技術・基板設計技術が高度化してきています。それに伴ない、通信品質に影響を与える伝送路間の電磁干渉の問題に対しては従来にも増して慎重に取り組む必要性が出てきています。また、自動車にはエンジンルームを中心に時には十数V以上の大きなノイズを放射しうる機器が搭載されています。一般的に通信エラーを発生させる大きな要因としては外部機器から放射されるノイズや通信路を構成する機器が発生源となるジッタなどがありますが、車載ネットワークでは車載機器から放射されるノイズが最も注意すべき要因です。このようなノイズは、車内に展開されるワイヤーハーネス上の伝搬やその突発的な発生により通信に影響を与えることがあるためです。したがって、通信品質の評価の際には、突発的な予期せぬノイズが原因で発生する通信エラーも確実に評価することが求められます。

図3.車載LANの通信品質に影響を与える要因例

2.アナログ・デジタル混在回路の評価
車載機器の軽量化や機能の高度化などに対応するためECUによる車載機器の制御が一般的になりつつあります。また、製品の小型化に伴なう基板実装密度の増加により1つのECUが制御する機器の数が増加するなどECUの果たす役割は高まっています。したがって、ECUの信頼性は車載機器の信頼性に大きな影響を与える要因のひとつとなっています。ECUの信頼性を評価するうえでの重要なポイントの一つとしてECUの制御信号に対するECUの応答の正確さがあげられます。ECUの制御はデジタル信号により行なわれるケースが多いため、デジタルの制御信号とアナログの出力信号との相関関係の評価が重要となります。具体的には、特定のパターンの制御信号に対する出力信号の波形品質の評価、仕様通りの信号が出力されなかった場合の制御信号とのタイミングの評価などがあげられます。

図4. エンジンECUへの入出力信号の例

3.不具合発生時の問題の切り分け
自動車は人命を預かる製品であるため車載品には不具合が発生しないことが強く求められます。したがって、製品開発の最終段階や実車試験において不具合が発見された場合には正しくかつ迅速に問題の切り分けを行なう必要があります。その一方で車載品には、車載ネットワークの高速化に伴なう高度なハードウェア設計技術・ソフトウェア設計技術や、自動車内での厳しいノイズ環境に対応するための高度なノイズ対策技術が採用されています。このような車載品に採用される技術の高度化に伴ない、不具合発生時のデバック作業は難易度を増しつつあるため、従来よりも多面的な不具合解析が求められます。

5多面的な不具合解析による問題の切り分け

4.広い温度範囲での製品の動作保証

一般的に、車載品では広い温度範囲での動作保証が求められます。例えば、車内に設置されるカーナビゲーションシステムでは-40度から+85度、エンジンルームに設置される機器では-45度から+125度での動作保証が求められます。従来の温度特性試験では、完成品を恒温槽に入れての機能試験が中心でしたが、製品開発の効率化と厳密な温度特性評価の観点から基板レベルでの温度特性評価の要望が高まりつつあります。

▲TOP

 

3-2:CANおよびLINの通信品質評価へのアプローチ

本章では、前章であげた技術的課題を解決するためのAgilent6000シリーズオシロスコープ、およびそのオプションN5424A CAN/LIN解析機能およびN5423A I2C/SPI解析機能の活用方法をご紹介します。

Agilent6000シリーズオシロスコープのオプションAMS(N5424A) CAN/LIN解析機能には以下のような特長があり、従来のオシロスコープでは実現できなかった極めてリアルタイム性の高いCAN/LINの通信品質評価を行なうことができます。

1.エラーカウント機能による測定取りこぼしのないエラーフレーム数の測定

CANの通信品質評価ではエラーフレーム発生の有無により通信エラー発生の有無が確認される場合が多くなっています。エラーカウント機能では測定取りこぼしのないエラーフレーム数の測定を行なうことができるため、エラーフレーム発生の有無のみではなく、一定時間でのエラー発生の頻度も評価することが可能となります。したがって、製品開発の最終段階や品質保証の段階でエラーチェッカーとして活用することができます。

図6.CANエラーカウント機能

▲TOP

 

2.ハードウェアトリガ・ハードウェアデコードによるリアルタイム性の高い「波形の見える」超高速CAN/LINデコード

CAN/LINの通信エラーは様々な要因により発生しますが、主要な要因のひとつとしてノイズをあげることができます。製品開発の最終段階や品質保証段階では、突発的に発生するノイズが原因となる通信エラーも確実に捕捉しデバックを行なう必要があります。ノイズを確実に捕捉するためにはオシロスコープの測定取りこぼしが極めて少ないことが重要になるのとともにデバック時には多くのエンジニアの方が関心を持つ波形品質と通信品質との関係を容易に正しく評価できることが重要になります。Agilent6000シリーズオシロスコープは毎秒最大10万回の波形更新速度を実現することで極めて取りこぼしの少ない測定を実現できるため、ノイズのような突発的に発生する現象を的確に捕捉することができます。また、CAN/LINデコード機能では、ハードウェアデコードにより極めてリアルタイム性の高いデコードを実現できるため、波形品質と通信品質との関係をリアルタイムにモニターできるとともに、不具合発生時に波形を見ながらのハードウェアデバックにも活用することができます。

図7.「波形の見える」CANデコード機能

 

図8.「波形の見える」LINデコード機能

 

図9.スケール変更しても表示される「波形の見える」デコード結果

▲TOP

 

3.MSO機能による1BOXでのデジタル制御信号とアナログ出力信号との相関評価の実現

ECUによる車載製品の制御が一般的となり、車載製品の信頼性に大きな影響を与えるECU信頼性評価の重要性が高まっています。ECUの信頼性評価のポイントの一つとしてECUの制御信号に対する出力信号の正確さがあげられます。ECUの制御はデジタル信号により行なわれることが多いため、デジタルの制御信号とアナログの出力信号との相関関係の評価を正確かつ容易に行なえることが求められています。MSO機能を活用すると、アナログ4chとデジタル16chの合計20chを活かしたECU周辺回路の多chタイミング評価を1BOXで実現することができます。また、ECU制御信号として多く使われるSPIをデジタル信号に割り当ててトリガ信号とし用いることもできるため、SPI制御信号とCANバスとの相関評価を行なうこともできます。

図10.MSO機能を活用したSPI制御信号とCAN信号との相関評価事例

▲TOP

 

4ロジックアナライザ、オシロスコープを使用し、効率良く時間軸同期デバッグ

自動車の高機能化により車載品に採用される技術の高度化が進んでいます。それに伴ない、不具合発生時には原因の特定が難しくなってきています。特に、ソフトウェアとハードウェアとの問題の切り分けはデバックの方針を決定する上で重要な作業ではあるものの、技術的に高度な作業となるために多くの工数がかかってしまうのが実状です。例えば、車載ネットワークからECUへ非同期にアクセスが発生した際に起きる不具合では、ソフトウェア(プロトコルエラー)、デジタル的なタイミング(メモリへのアクセス競合など)、また、ノイズに起因するビットエラーでの不具合など、複合的な原因が考えられます。プロトコルアナライザ、ロジアナ、オシロを使用し、このような複数ドメインでのデバッグを行う場合は、デバッグツール同士が連携でき、複数のエンジニアが同じ時間軸上でデバッグ出来ることが重要です。 ソフトウェアとデジタル部分のクロスドメイン解析は、ロジックアナライザを使用し、CPUの動作、プロトコル、そして、ECU外部からの入力データを時間軸相関させて検証する事で実現できます。また、オシロスコープとロジックアナライザとを連携させるViewScope機能を活用することでノイズに起因するアナログ事象がデジタルへ影響している場合などの、多面的な評価を行なうことができるようになります。オシロスコープのリアルタイム性の高い豊富なトリガ機能、忠実な波形品質表示能力、ロジックアナライザの長時間データ捕捉能力、複雑なトリガ設定機能、データの後解析能力など双方の特長を活かし連携したデバックを行なうことで従来よりも多面的で効率的な評価や不具合解析を展開できるようになります。

図11.ソフトウェアとハードウェアの時間軸同期デバックの例

 

図12.View Scope機能

 

図13.View Scopeを活用した多元同期デバック

▲TOP

 

5.InfiniiMaxプローブの活用による恒温槽測定の実現

車載品の温度特性試験は-45度から+125度といったような広範な温度範囲での評価が要求されるため、恒温槽を使って行なわれるのが一般的です。従来は、測定器やアクセサリ類の温度特性の制約により製品を恒温槽に入れて機能試験を行なうのが一般的でしたが、信号の伝送レートの増加に伴なう回路設計技術の高度化により、恒温槽内での基板レベルでの評価に対する要求が高まっています。InfiniiMaxプローブを活用するとプローブヘッド部のみ恒温槽内に入れた測定を行なえるため、恒温槽で基板レベルでの温度特性評価も行なうことができるようになります。

恒温槽での測定に便利なInfiniiMaxプローブの先端延長オプション

◆同軸ケーブルを接続
(コネクタ形状に注意。SMP(f)-SMP(m))
◆1130A 1.5GHzプローブアンプでは差動で0.27pF, シングルエンドで0.44pF低入力容量
0度から105度までの動作保証温度

最大周波数は選択したInfiniiMax プローブのアンプの
周波数帯域に依存します。

 
図14.恒温槽測定に活用できるInfiniiMax先端延長オプション

▲TOP

 

3-3:Agilent車載ネットワーク評価ソリューション

本ページでご紹介した製品の詳細は以下よりご確認いただけます。

  • MSO/DSO6000シリーズオシロスコープ
  • N5424A CAN/LINデコードオプション
  • N5423A I2C/SPIシリアル・データ・デコード・オプション
  • 16800シリーズロジックアナライザ
  • InfiniiMaxプローブ

車載ネットワーク評価ソリューションとして、特にCANおよびLIN向けにAgilent6000シリーズオシロスコープおよびロジックアナライザをベースとしたご提案をさせていただいております。他の車載ネットワーク規格については対応できしだい順次更新していきます。

 

▲TOP

 

 
お問い合わせ窓口お問い合わせ窓口
 
ビデオデモ(日本語)

高速ハードウェア・デコーダによるCANベースのデザインのデバッグ(テクトロニクス・オシロスコープとの比較)
 

アジレントのソリューション

CAN/LIN(N5424A)およびFlexRay(N5432A)
 

関連情報

アジレント大画面オシロスコープ
InfiniiVision 7000シリーズ新登場!

技術セミナ&トレーニング
ご紹介

申込はお早めに!デジタルエンジニア育成セミナ
 
 

 

 

 

Error processing SSI file