Keysight 電流プローブ事例紹介

 海外の電子機器メーカー(設計・開発部門)
  スマホの待機時消費電力が測れない
  電流プローブで思わぬつまずき

 スマホ市場での巻き返しを狙い、慎重に開発を進めた新型機。特徴は長い電池駆動時間である。
  しかし、それの実証に不可欠な待機時の消費電力が測れない。何が問題なのか。その解決方法は?

 

【4】この問題を解決したソリューション  

事例紹介:
海外の電子機器メーカー(設計・開発部門)
スマホの待機時消費電力が測れない
電流プローブで思わぬつまずき


【1】背景

【2】問題:「ノイジー」な波形しか現れない、、

【3】解決:「ボスに合わせる顔がないなぁ」

【4】この問題を解決したソリューション


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テーマ : 電流プローブ

製品名 : Keysight N2820A/N2821A オシロスコープ用電流プローブ

50μAの最小分解能と20,000対1のダイナミック・レンジを同時に実現
~携帯型電子機器の消費電力評価が手軽になり、開発効率が大幅に向上~
  概要
   一般に、電流を測定する場合は、ホール効果センサを用いたプローブや、電流トランスを使ったクランプ型のプローブを使います(図6)。いずれも、使い方が簡単で手軽に利用できるプローブです。しかし最近になって、これらのプローブに限界が見えてきました。それは、最小分解能に限界が存在することです。検出方式やメーカーによって違いはありますが、その最小分解能は1mA〜5mAです。つまり、それ以下の小さな電流は測れないことになります。

(図6) 既存の電流プローブ


 ただし、これまではあまり大きな問題になっていませんでした。非常に小さな電流を高精度に測定するという要求が少なかったからです。ところが最近のアプリケーションの進化により、問題が顕在化し始めました。そのアプリケーションとは、スマートフォンやタブレット端末、携帯型医療機器、GPSなどのロガー、車載機器などです。いずれも、電池を搭載しており、それを使って駆動する電子機器です。
 
 これらの中で、特にスマートフォンやタブレット端末などの携帯型電子機器は、市場で激しい競争を繰り広げています。競争のポイントは、「高性能化/高機能化」と「電池駆動時間の延長」の2つです。通常、高性能化と高機能化を追求すれば、電池駆動時間は短くなってしまいます。電池駆動時間を長くしようとすれば、性能や機能をあきらめざるを得ません。しかし、それでは競争力を備えた製品を実現できません。

 相反する条件を同時に満たさなければならない。そこで、携帯型電子機器メーカーでは、性能や機能を左右するフル稼働時の消費電流はそのままに、待機時の消費電流を可能な限り低減する取り組みを強化しています。待機時の消費電流は、1mAを優に下回ります。このため、電流プローブの最小分解能が大きな問題として顕在化してきたわけです。

 さらに、既存の電流プローブのダイナミック・レンジも、十分なレベルに達していませんでした。例えば、スマートフォンのフル稼働時の消費電流は1A〜2A程度。一方、待機時の消費電流は数百μAです。その差は数千倍。スマートフォンの消費電流を評価するには、これだけ大きなダイナミック・レンジの電流を測らなければなりません。しかし、既存の電流プローブでは、フル稼働時と待機時の消費電流を同一のセットアップで測ろうとすると、フル稼働時においてアンプ回路が飽和してしまい、正しい結果が得られませんでした。

 既存の電流プローブが抱えていた最小分解能の問題。そして、ダイナミック・レンジの問題。この2つの問題を一挙に解決した電流プローブがKeysight N2820A/N2821Aです。オシロスコープに接続して使用します。


 この電流プローブは、シャント抵抗を用いて電流を測定する方法を採用しています(図7)。すなわち、測定対象の電流が流れる回路にシャント抵抗を直列に接続し、それによる電圧降下分を測定して電流を求める方法です。特長は大きく分けて4つあります。

(図7) シャント抵抗を使った測定
被測定回路にシャント抵抗を直列に挿入し、電圧降下を検出して電流を測定します。


 1つは、被測定回路にシャント抵抗を接続する治具が充実していることです。この治具を「MBB(Make Before Break)コネクタ/レセプタクル」と呼びます。これを使えば、比較的簡単に測定のセットアップが完了します。2つめは、最小分解能が50μAと極めて小さいことです。既存の電流プローブは1mA〜5mAでしたから、最小分解能を一気に20倍〜100倍に高めたことになります。3つめは、測定可能なダイナミック・レンジが20,000対1と非常に広いことです。測定可能な最大電流は5Aで、最小電流は50μAです。4つめは、シャント抵抗の値をユーザーが選択できることです。被測定回路の特性に応じて、最適な抵抗値のシャント抵抗を使うことが可能です。
それでは、以下でそれぞれの特長を詳しく見ていきましょう。
   
  主な特長
 
充実した取り付け治具

 今回の電流プローブを使って測定するには、以下の2つの方法があります。1つは、被測定回路に直接、シャント抵抗を接続する方法。もう1つは、N2820A/N2821Aの測定治具として付属しているMBBコネクタを接続する方法です(図8)。ボード上にシャント抵抗を実装するスペースがない場合などに便利です。

(図8) セットアップの様子
 

 測定ヘッドは、3つ用意しました。1つは、100mΩのシャント抵抗を内蔵した測定ヘッド(型番はN2824A)。2つめは、20mΩのシャント抵抗を内蔵した測定ヘッド(型番はN2822A)。3つめは、シャント抵抗を内蔵しない測定ヘッド(型番はN2825A)です。つまり、被測定回路にシャント抵抗を直接接続した場合はN2825Aを使用し、MBBコネクタを接続した場合はN2824A、もしくはN2822Aを使います。


 図9は、それぞれの場合の回路図です。N2825Aを使った場合は、図4右のようになり、ボード上に取り付けたシャント抵抗と、ヘッドに内蔵したアンプが直結されます。N2825A自体はスルー回路です。測定する際には、ボード上に実装したシャント抵抗の抵抗値を、オシロスコープのGUIから入力する必要があります。そうすれば、電流値が求まります。

 図9左は、MBBコネクタをボードに取り付けた状態の回路図です。ここに、測定ヘッドと接続したMBBレセプタクルを挿入すると、その内部で機械的な接続が確保されます。その結果、図9中のように、ヘッドに内蔵したシャント抵抗と被測定回路が直列に接続されるわけです。N2824AとN2822Aのシャント抵抗の抵抗値は既知ですので、これだけで電流を測定できます。

(図9) N2824A/N2822AとN2825Aを使用した際の回路図

右図は、測定ヘッド「N2825A」を使用した場合の回路図。
N2825Aはスルー回路として機能し、ボードに実装したシャント抵抗とアンプが直結されます。
左図はMBBコネクタを接続した場合。
中図は、そこにMBBレセプタクルを介して測定ヘッド「N2824A/N2822A」を接続した場合。
測定ヘッドに内蔵したシャント抵抗が被測定回路に対して直列になるように接続されます。




 N2820A/N2821Aを購入すれば、MBBコネクタ/レセプタクルやツイストペア・ケーブルが付属品として同梱されています。従って、すぐに測定を始めることが可能です。さらに、付属品以外の一般的なケーブルやコネクタも使用することが可能です。



最小50μAの微少電流測定が可能


 N2820A/N2821A を使って電流測定で得られる最小分解能は50μAです。既存の電流プローブは1mA〜5mAですので、20倍〜100倍の最小分解能が得られる計算になります。このため、既存の電流プローブを使って測定した場合は、ノイズに埋もれて波形が確認できなかったケースも、N2820A/N2821Aを使えば鮮明な測定波形を得られます。

 なぜ、このように優れた最小分解能を実現できたのか。理由は2つあります。1つは、精度が高いシャント抵抗を採用したこと。もう1つは、測定ヘッドに内蔵したアンプに、ノイズが極めて小さい品種を採用したことです。この結果、測定ヘッドにN2824Aを使って測定した場合、ノイズは30μA以下に抑えられます。



最大20,000対1のダイナミック・レンジ


 今回の電流プローブは、N2820AとN2821Aという2つの品種を用意しました。N2820Aは2チャネル出力品。N2821Aは1チャネル出力品です。

 このうち2チャネル品であるN2820Aを使えば、「Zoom-in View」と「Zoom-out View」という2つの測定レンジで波形を観測することが可能になります。この機能のメリットは、電流の変化が大きい被測定回路でも、大電流時の飽和させることなく波形を表示できる点にあります。

 実例を示しましょう。図10は、携帯電話機のある回路に流れる電流を測定した結果です。定常状態では電流はあまり流れていませんが、着信すると急に大きな電流が流れます。ここで測定レンジが大きく変わってしまいます。しかし、2チャネル出力品を使えば、Zoom-in Viewを使うことで定常状態の電流変動(図10下、2.00mA/div黄色)、Zoom-out Viewを利用することで着信時の大きな電流変動(図10上、20.0mA/div、緑色)を同時に観測できます。

(図10) Zoom-in ViewとZoom-out View
2チャネル出力品を使えば、Zoom-in ViewとZoom-out Viewの機能を利用して、
2つのレンジの波形を同時に観測できます。

 2チャネル出力品を使用した際のダイナミック・レンジは極めて広く、20,000対1に達します。これほど広い値を実現できた理由は、N2820Aに利得が大きなアンプと利得の小さなアンプを内蔵した点にあります。検出した電流の大きさに応じて2つのアンプを自動的に使い分けるわけです。こうすることで、大きな電流を測定する場合でも、飽和させることなく測定結果を表示できるようになりました。



シャント抵抗を選択できる

 前述のように、測定ヘッドを取り替えることで、シャント抵抗の抵抗値を選択できます。それでは、抵抗値はどのように選べば良いのでしょうか。

 測定ヘッドであるN2822Aには、抵抗値が20mΩと小さいシャント抵抗が搭載されています。抵抗値が小さければ小さいほど、被測定回路への影響を最小限に抑えられます。しかし一方で、電圧降下が小さくなるため、わずかな電流変化を検出しづらいというデメリットがあります。このため、N2822Aは、被測定回路の電流が比較的大きな用途に適していると言えます。具体的には、250μA〜5Aの範囲です。

 N2824Aに搭載したシャント抵抗は100mΩです。抵抗値が大きいため、わずかな電流変化でも電圧降下が大きくなってしまいます。従って、より精度が求められる場合や、微小な電流を測定する場合などに適しています。ただし、被測定回路に与える影響は、比較的大きくなるので注意が必要です。対応する電流の範囲は50μA〜2.2Aです。

 測定ヘッドにシャント抵抗が内蔵されていないN2825Aは、被測定回路にあらかじめシャント抵抗が実装されている場合を想定して用意しました。対応するシャント抵抗の抵抗値は1mΩ〜1MΩ。この範囲であれば、オシロスコープのGUIを介して抵抗値を入力することで、電流を測定可能です。なお注意すべき点が1つあります。それは、シャント抵抗のパワー・レーティング(定格電力)です。事前にカタログなどで、定格電力を超えないことを確認して下さい。
   
 

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